5/04/2009

Authority 出典,典拠,権威の信頼性

Peter Morville on the issue of
validity, trust and “authority”:
http://semanticstudios.com/publications/semantics/000057.php

2005年10月のAuthority についてのコラムです。

ブログやWikipedia,Folksonomists,その他いろいろなSocial softwareを使う人たちが多くなってきて,「言葉の誤用,乱用」がとても気になる,との指摘からコラムが始まっています。

(確かに,基本的に本のレビューではあるけど,専門家でもない私が,学習理論についてアップしている。理解が間違っていたり,和訳が専門家の中で一般に使われてないような言葉になっているかもしれない。ネットに載せる以上,気をつけてはいるけど,不安定さは残っている。。)

Authority つまり,出典,典拠,(権威)には,「正確性」「客観性」「通用する内容であること」が必要とされる。そして,私たちは,これらにしたがって,その資料が典拠として妥当かどうかを判断している。

その「典拠」が「Techonorati mod (modというのは,統制がとれない群集のこと)」によってめちゃくちゃになろうとしたとき,資料の典拠として,新しいものが,登場した。Wikipediaである。

Wikipediaは,不安定さをもっていて,論文などの参照資料には適してないけど,その認知的な出典としては十分に機能している。Wikipediaの設計,デザイン,管理性そして,そのブランドが,認知的出典もととしての存在をサポートしている。

素人がまちがって,事実ではないことをアップしたり,故意に嘘をアップされたりすることもあるかもしれないけど,その点を非難する前に,これまでの印刷された書籍等の典拠について考えてみる必要がある。現在,出典もととして使われている,辞典や雑誌,新聞などにおいても,正確性,客観性,通用性などを考えた場合,あてはまらない場合もあるのは,経験から分かるだろう。

Wikipediaは,専門家だけでなくいろいろな人が参加できる,まさに,ボトムアップ,協同カテゴライズの申し子とも言える。Wikipediaは,Folksonomyの性質を持ち,Findabilityのよさもあって,ブリタニカに勝利したとも言えるだろう。

ここで,Googleの話になるのだけど,ページランキングという意味で,GoogleがWikipediaなどのFolksonomy,つまり,フリーtaggingの王者とも言えるだろう。その革命は,Multi-Algorithmicにある。
1)Full Text :キーワードマッチング
2)Information Architecture: インターネットリンク構造の解析と手作業によるメタデーター
3)Free Tagging:サイト間のリンクの活用

有名ないたずらの,Googlebombs がある。
グーグルで miserable failure と入力すると,ホワイトハウスのブッシュのページが一番上にランクされてしまったという話である。時折,「authority of the masses 大衆の権威」が,定義を改めてしまうことがある。

詳しい話は,
グーグル「爆弾」 googlebombの解説はこのページで。
http://it.nikkei.co.jp/internet/column/aun_seo.aspx?n=MMIT0j000005022007

最後に,意思決定の錯覚を2つ
1)Anchoring 何かを決めようとしたとき,最初に見つけた情報に影響を受けやすい
2)Confirmation 何かを探すとき,自分の考えをサポートしてくる情報を探す。したがって,対立する情報をさけてしまう。

そして,これらは,グーグルやその他の検索ツール,Wikipediaにも言えることである。
これらの検索結果で,何を学び,誰を信頼し,そして,どのように決定するか影響を受けているのである。

もちろん,私たちは,この,自分の資料を探し,自分のニュースを探すことを可能にした,これらのオープンメディアのパワーを認めなければならない。今日の,グーグルエコノミーにおいて,私たちは,私たち自身が「典拠,権威」になりつつある。

Google economy グーグルエコノミー,つまり,資料の価値は,(例えばWebページ,でもそれだけに関わらず,すべての資料において)他の資料からどれくらい参照されているか,リンクされているかで決定されるだろうというコンセプト。

(2005年の記事で,ちょっと古いけど,おもしろかった)



第7話 結論

Contiguity effect 近接効果は,空間認知力の高い学習者のほうに,高いという結論になります。
つまり,ワーキングメモリーが限られているので,空間認知力の低い学習者は,より多くを視覚イメージの表象を構築に充てなければならず,その後の,参照結合(2つの表象を統合すること)へ充てることができないからです。すなわち,空間認知力は,不足した情報を埋め合わせるために使われるというよりも,さらに学習を深めることに影響を与えるということになります。

まとめると,,,,

domain-specific knowledge つまり,学習内容に関連した知識は,足りない情報を埋め合わせる,良くない提示教材を補う働きをし, Spatial ability,空間認知力は,より学習を深める働きをするとなります。

この実験の結果は,実践の場面においては,学習者が言語情報の表象と視覚イメージの表象をつなげるチャンスを最大限にするような教材の価値を示しています。

そして,PaivioのDual-Coding Theoryを拡張した,私たちの提唱した Dual-Coding Theoryが,マルチメディア学習において,有効だということも示すことができました。

論文のタイトルにもある,
For Whom is a Picture Worth Thousand words? 誰にとって視覚イメージは1000の言葉に匹敵するのか? という,Larkin and Simon(1987)の問いに答え始めました。

研究からの答えは,関連した知識をもたない,高い空間認知力をもった学習者に,十分に考えられたマルチメディア教材(言語情報と視覚イメージを同時に提示した教材)は,もっとも大きな効果を与える


以上です。
(途中の細かい実験の方法や分析などは,スキップしました)

(((読み終わっての雑感)))

読みながら思ったことです。ちょっとくだらないかも。。

1)学習内容に関連した知識のある生徒は,授業の未熟さをカバーする
  学習者自身が,足りない情報を補おうとする機能をもっている。そのとき,長期記憶にある過去の学習を検索し,ワーキングメモリー内へ引っ張り出す,ということをする。長期記憶にあるものはなくなることはないというのが前提だから,パーフェクトな説明だけではなく,足りない説明を意図的に混ぜるのは有効ということ。。。かな。。評判のあまり良くない先生のクラスと,とても評判のいい先生のクラスの生徒のテスト結果に,それほど差がみられないことがある。。これは,(生徒同士で教えあってるってのもあるけど,)学習者には,足りない情報を補う機能が備わっているから!!だろうか。。とも考えてしまいました。

2)空間認知力が学習を促進する
  これは,,空間認知力は一般的に男性のほうが高いですよね。だから,とくにVisualization,
図やグラフの理解を必要とし,言語情報と視覚イメージを同時に提示することの多い授業,理科や数学では,男の子のほうが学習を深めているのでしょうか。。ということは,授業そのもののほかに,空間認知力を高めるトレーニングをすると,(授業内容とは別に。。)理解力が深まっていくのでしょうか???

3)マルチメディア教材は,学習を助ける。。から,そのデザインは重要だな。と思ったのですが,ということは,2)に関連して,やっぱり,空間認知力というのは,これまで以上に学習者にとって必要な時代になってくるのでしょうか。。。

などと思いながら,読んでいました。。


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この論文のレビューです
Mayer,R.E., Sims, V.K.(1994)
For Whom is a picture worth a thousand words?
Extensions of a dual-coding theory of multimedia learning.
Journal of Educational Psychology, 86, 389-401
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第6話 空間認知能力のもうひとつの仮説

前回の仮説は,空間認知力が,不足した情報を補うというものでした。
したがって,空間認知能力の高い学習者は,ワーキングメモリー内において,参照結合(言語情報の表象と,視覚イメージ情報の表象の統合)を行う際に不足した情報(視覚イメージ情報の表象)を補い構築できるので,近接効果は,空間認知力の低い学習者に対して大きな効果をもたらすはずである。となりました。

その仮説とは違う仮説として,空間認知力は,優れた教材提示の効果をさらによくする があります。 the ability-as-enhancer hypothesis です。

この場合,先ほどとは違う結論を得ることになります。

空間認知力が,効果を向上させるものとして,考えると,
言語情報と視覚イメージ情報が同時に提示されないとき,空間認知力が高い学習者も,低い学習者もいずれも参照結合を構築できないと結論付けられます。

しかしながら,同時に提示された場合,
効果を向上させるとする仮説により,空間認知力の低い学習者は,高い学習者よりも視覚イメージ情報の表象の構築において,より多くの「認知資源:外からの情報を受け取り,それが何であるかを判断したり解釈したりする過程において(認知)必要とするもの」を充てなければならない。したがって,空間認知力の低い学習者は,参照結合の構築にほとんど資源を充てることできない。となります。

空間認知力の低い学習者は,視覚イメージの表象を構築するときに,提示されたアニメーションなどを,何度も繰り返さなければならないでしょう。したがって,そのとき,認知資源を他のタスクに使うことができないわけです。

逆に,空間認知力の高い学習者は,多くの認知資源を参照結合に使うことができるので,最初の仮説の
空間認知力は,不足した情報を補うからの結論と違い,同時に提示された教材から,より多く効果を得ることができると考えられます。

もし,空間認知力が視覚イメージと言語を組み合わせた授業をさらに良くするとするならば,
空間認知力の低い学習者ではなく,空間認知力の高い学習者が,より大きな近接効果を得ると言えるでしょう。

この研究の目標を改めて言い直すと,
the ability-as-compensator と the ability-as-enhanser に関する,実証的なデータを提示することです。

これら2つの予測を,
言葉と視覚情報を組み込んだ提示,バラバラの提示,提示なし を比較することによって,2つの実験を行いました。対象となる学習者は,「学習経験の低い生徒で空間認知力の高い生徒」,「学習経験の低い生徒で空間認知力の低い生徒」です。

この実験は,
「近接効果は,空間認知力の高い学習者ではなく,空間認知力の低い学習者に大きな効果があるのかどうか」または「近接効果は,空間認知力の低い学習効果ではなく,空間認知力の高い学習者に効果があるのかどうか」に注目して行われました。


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この論文のレビューです
Mayer,R.E., Sims, V.K.(1994)
For Whom is a picture worth a thousand words?
Extensions of a dual-coding theory of multimedia learning.
Journal of Educational Psychology, 86, 389-401
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第5話 認知能力の役割

Role of Ability in Learning From Animations and Narrations

2つめの重要な学習者の特徴は,学習のときに使う認知的な能力です。
例えば,言葉と視覚イメージからの学習は,言語能力と空間認知能力に左右されます。したがって,私たちの研究は,空間認知を測るテストにおいて,高いスコアの学習者と低いスコアの学習者の学習結果を比較して進めます。

空間認知に関しては,さまざまな研究者によって,7つの方法で定義されています。
しかしながら,私たちは,空間認知能力の spetial visualization 空間的視覚化 に絞って考えたいと思います。

spatial visualization 空間的視覚化 とは,
頭の中で,2次元,または3次元で,物をまわしたり,折り曲げたりでき能力,
回したり,折り曲げたりした形態や形状の変化を想像する能力
のことです。

Sternbergは1990年に,空間的視覚化は,形を視覚化し,物の回転,そして,どのように,パズルのピースを合わせるかといった能力を含むとしています。

またh,Thurstoneは1941年に,空間的視覚化は7つの主要な認知能力のひとつだとしています。

さて,この空間認知力の程度が,contiguity effect 近接効果にどのように影響するのでしょうか。

今回の研究において,私たちは,意味のある学習(提示教材が新しい状況において,問題解決の場面で活用できるようになるための学習)に必要とされる,参照結合(視覚情報の表象と,言語情報の表象の統合)を構築する状況の下での,理解を模索します。

特に,私たちの目標は,「空間的な情報の処理スキルのマルチメディア学習における役割」
を特定することです。

私たちは,空間的認知力が学習に影響を与えるであろう2つの方法で,調べました。

まず一つ目は,以前の学習経験の推測のように,空間認知力も,学習を補うのではないかと考えました。
つまり,言語と視覚イメージを同時に提示しない場合,空間認知力の高い学習者は,ワーキングメモリー内の視覚イメージ情報の不足においても,イメージ情報を保持し,言語情報の表象と統合を構築できるのではと考えました。

ability-as-compensator hypothesis 不足を補う能力の仮説です。

したがって,この仮説に従えば,

「空間認知力の高い学習者は,言語と視覚イメージを同時に提示した場合も,続けて提示した場合も参照結合を構築できる。そして,空間認知力の低い学習者においては,言語と視覚イメージを同時に提示した場合にのみ,参照結合が構築される。」

(* 参照結合:言語情報の表象と視覚イメージ情報の表象の統合)

となります。

つまり,

もし,空間認知力が言語と視覚イメージの非同時提示による不足を補うとするならば,
近接効果 は,空間認知力の高い学習者ではなく,空間認知力の低い学習者に大きな効果があるはずだ。となります。


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この論文のレビューです
Mayer,R.E., Sims, V.K.(1994)
For Whom is a picture worth a thousand words?
Extensions of a dual-coding theory of multimedia learning.
Journal of Educational Psychology, 86, 389-401
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第4話 学習経験の役割

Role of Experience in Learning From Animations and Narrations

ひとつの学習者の特徴として,学習経験,つまり,これまでに今の学習内容に関連した内容の学習をしたことがあるかどうか,ということがあげられます。
そこで,私たちは,

 low-experience learners 学習経験度が低い学習者 とは,
特定分野の(学習対象の分野)知識の量が少ない学習者

 high-experience learners 学習経験度が高い学習者 とは,
特定分野の(学習対象の分野)知識の量が多い学習者

と定義します。

そのすでに持っている知識の量は,前述の「contiguity effect 近接効果」にどのような影響を与えるのでしょうか?

Dual-Coding Theoryからの考察により,
アニメーションとナレーションを同時に提示することは,meaningful learning(意味にある学習) (獲得した情報が,新しい状況下における問題解決のための知識に転換される学習)のために必要な3つの状態を可能にします。 
(visual representational connection 視覚情報の表象,

verbal representational connectin 言語情報の表象,
referential connection その2つの統合

 「表象とは,外から入ってきた情報の学習者自身が捕らえた像,イメージ」)

ということは,同時に提示することにより,
「学習経験度の高い生徒にも,低い生徒にも,高い問題解決のための転換が,推測される」

となります。

しかし,アニメーションとナレーションを同時にではなく,続けて提示したとすると,
2つの表象,視覚情報の表象と言語情報の表象は,同時にワーキングメモリー内にないので,その2つの統合が損なわれてしまうことになります。そうなると,

ここでの障害を切り抜ける方法を持たない,学習経験度の低い学習者は,
問題解決への転換が低くなると推測されます。

対照的に,学習経験度の高い学習者は,ナレーションが聞こえたとき,その言語情報から単独で自分自身の頭の中で視覚的イメージを作り出し,言語情報の表象とその視覚イメージを参照的に結びつけるというように,関連する知識を長期記憶から引き出すことができる可能性が高いので,
問題解決への転換における低下は見られないと推測できます。

以上の推測のように,Mayer と Gallini は1990年に,3つの研究から,言葉と視覚イメージを組み合わせは,学習経験度の高い学習者ではなく,学習経験度の低い学習者において,問題解決への転換を向上させるということに気づきました。

私たちは,この結果から,

「特定分野の知識は,言葉と視覚イメージを組み込んでいない教授を埋め合わせる」

と解釈します。

特に,言語情報と一緒に,有効な視覚イメージが提示されなかったとき,
学習経験度の高い学習者は,学習経験度の低い学習者に比べて,長期記憶からリソースモデルを引き出し,入ってきた言語情報の理解を補うためにそのリソースモデルを使うことができると考えます

したがって,今回の研究において,学習経験度の低い学習者のほうが,より言語情報と視覚イメージを取り込んだ教授により利益を得るので,学習経験度の低い学習者に焦点を当てることにします。

次は,空間認知能力の差異の影響です。おもしろいなぁと思いました。


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この論文のレビューです
Mayer,R.E., Sims, V.K.(1994)
For Whom is a picture worth a thousand words?
Extensions of a dual-coding theory of multimedia learning.
Journal of Educational Psychology, 86, 389-401
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第3話 近接効果 Contiguity Effect

Contiguity Effect 近接効果

前回の Dual-Coding Theory によると,
学習者は頭の中に,言語による説明によって,verbal representation 言語による表象を構築し,イメージによる説明によって, visual representation イメージによる表象を構築します。そして,これら2つの表象のreferential connecction 参照結合?を構築します。
つまり,このことより,学習者は,言語とイメージによる教材を同時に(近くに)提示されたときのほうが,バラバラに提示されるときよりも,より良く学習するという,予測をたてることができます。

バラバラに提示された場合,verbal representation 言語による表象とvisual representation イメージによる表象の2つは,作り出されますが,もうひとつの,のreferential connecction 参照結合?は,構築できないとなります。

したがって,Dual-Coding Theoryにしたがって考えると,2つをコーディネートした提示のほうが,コーディネイトされてない提示よりも,より良く,問題可決のための転換へと導くであろうと,予測できます。

この予測に合わせて論理を展開していくと,学習者の個人差,特に,「domain-specific knowledge 特定分野の知識」とspatial ability 空間認知力の役割を模索することによって,この研究を広げることは,有意義なことだと考える。

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この論文のレビューです
Mayer,R.E., Sims, V.K.(1994)
For Whom is a picture worth a thousand words?
Extensions of a dual-coding theory of multimedia learning.
Journal of Educational Psychology, 86, 389
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第2話  二重符号化理論

Dual-Coding Theory of Multimedia Learning

マルチメディア学習は,視覚的に提示されたアニメーションと言語的に提示されるナレーションといったような,二つ以上の様式において提示された情報をつかって,知識の構築が行われたとき起こります。
厳密にいうと,私たちの定義は,「multimedia」(授業者が2つ以上の提示メディアを使う)というよりも,むしろ「multimodal」(学習者が2つ以上の感覚様式を使う)といえるかもしれません。「視覚」と「言語」を使ってというのは,2つの違った感覚様式を意味し,「アニメーション」と「ナレーション」というのは,2つの違う提示媒体と言えるでしょう。

私たちの考える,Dual-Coding Theoryは,Paicio(提唱者)の理論をベースに変更をしたものです。学習しているときに,提示教材がどのようにワーキングメモリーないで統合されていくのかを説明する3つのプロセスを提案しています。

言語による説明を受け取ると,ワーキングメモリー内において,学習者は,頭の中に,受け取った対象であるシステムの像(表象)を構築します。視覚による説明を受け取ると,同様に,頭の中に像(表象)を構築します。外界から入ってきたものが頭の中に学習者のイメージとなるプロセスを,

verbal/visual represetational connection (verbal/visual encoding)

といいます。

そして,この頭の中に構築された2つの表象(頭の中に作られたイメージみたいなもの)が,統合されていきます。言葉による説明と,図やアニメーションによる説明が,同じものを説明していると認識する状態のことです。このことを, referential connection といいます。

この,Paivioの理論を拡張した,Dual-Coding Theoryは,特に,問題解決に関する予測を可能にしています。つまり,この3つのコネクション,visual representational connections, varbal representational connections, referential connectionsの形成を促すことが,問題解決のための情報の転換だと考えます。この3つのうち,どれかが欠けることは,すなわち,理解度が落ちることを意味するということです。


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この論文のレビューです
Mayer,R.E., Sims, V.K.(1994)
For Whom is a picture worth a thousand words?
Extensions of a dual-coding theory of multimedia learning.
Journal of Educational Psychology, 86, 389-401
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第1話 マルチメディア学習の二重符号化理論

今日から,新しい論文に移ってしまった。。。大目に見てください。

ということで,今回の論文は,

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Mayer,R.E., Sims, V.K.(1994)
For Whom is a picture worth a thousand words?
Extensions of a dual-coding theory of multimedia learning.
Journal of Educational Psychology, 86, 389-401
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前回の本の著者の Mayer氏の論文です。

Dual-Code Theory ですが,日本語に訳すと,二重符号化理論となるけど,なんだか,余計イメージしにくくなるので,そのまま,Dual-Code Theory を使おうと思います。

それでは,始めます。

教育におけるテクノロジーの進歩にも関わらず,コンピュータベースの絵と言葉を使った教育をどのようにデザインしたらよいかに関する研究をベースとした理論が不足しているように思われる。
その教育におけるテクノロジーと理論のギャップを縮めるために,

「どの程度,個人差が,視覚と言語を使った教授による学習に影響を与えているか」

を調べました。特に,学習者の空間認知能力の学習における役割を特定することが目標です。

多くの研究による証拠が,テキストと絵を同時に提示することは,学習に影響を与えることを示しています。さらに,コンピュータベースにおいても,アニメーションは,視覚をベースとした情報を学習者に提示する強力なメディアであることも示されています。

それでは,Dual-Code Theoryについて述べた後,
1)contiguity effect :
  近接効果
2)the role of experience in the contiguity effect :
  近接効果における学習経験の役割
3)the role of ability in the contiguity effect :
  近接効果における「能力」の役割
4)the role of spatial ability in learning : 
  学習における空間認知能力の役割

の4つを考えていきます。 

5/01/2009

第8話 マルチメディア教材 デザインの原則

ここらか,Chapter2 Multimedia Instructional Messages です。
提示教材についてが述べられています。

Multimedhia Instructional Messages とは,
学習を促進させるための,言葉(音声によるものも含みます)と絵(動画も含みます)を使ったコミュニケ-ションと定義しています。

本では,文章と図で説明されているもの,コンピュータだったら,ナレーションやアニメーションをつかって説明しているもの,などです。

この定義は,次の3つのパートからなってます。

 message : 
  Multimedia Instructional Messages は,教師と学習者の両方によるコミュニケーション
  またはプレゼンテーションである,という考えを示します。

 instructional :
  Multimedia Instructional Messages の目的が,学習者自身の学習を進めることにある
  という考えを示しています。

 multimedia :
  Multimedia Instructional Messages が 言葉と絵 の両方を含むことを示しています。


ここでは,雷の学習の例によって,本をベースにしたマルチメディア教材と,コンピュータをベースにしたマルチメディア教材が,どのように構築され,学習結果を,「retention test 記憶テスト」と「trabsfer test 理解度テスト」によって,評価するかについて,述べられています。

雷の仕組みについての学習を例にあげながら,説明をします。
百科事典から,500単語程度の言葉により説明文を学習者に提示した場合,読んですぐあとの記憶テストおよび理解度テストの両方において,いい学習結果は得られませんでした。
そこで,生徒の理解度をあげるためには,別の方法が必要だということです。

ここでは,言葉による形態の限界が示されていて,視覚的な形態の提示に可能性があるということですね。それでは,言葉での説明と絵による説明をどのような組み合わせが,学習を広げるもっとも良い方法なのでしょうか

つまり,関連した内容の図と説明文が近くに提示されている,ということです。

この図は,Levin and Mayer の 一般的なデザインの原則「design principles」を適用しています。
デザインの原則とは,以下の7つです。

concentrated 集約させる
説明文もイラストも,重要点にしぼって,はっきりと示すこと

concise 簡潔に
余分な記述は最小限に,そして,余分な描写(例えば,必要以上の詳細な絵や,色)も最小限にすること。

correspondent 関連性
関連したイラストと説明文は,同じページの近くに配置

concrete 明確に 
説明文とイラストは見てすぐ分かるように提示すること

coherent 理路整然としている 
提示教材は,構造が分かりやすくなっていること。つまり,原因と結果のつながりが分かりやすく提示されていること

comprehensible 分かりやすく
学習者にとってなじみのある方法で提示すること。つまり,学習者のこれまでの経験と関連をつけやすい方法で提示すること。

codable
学習者が記憶にとどめやすくなるように,重要な用語や,イラストで示さされている重要な性質などを,頻繁に何度も使うようにする。

以上が,一般的なデザインの原則です。

(あらためて,整理されたものを読むと,分かってるつもりですが,頭の中に整理されていくものですねぇ。次に教材を作成するときには,この7つを思い出しながら,考えてみよう!!と思いました)

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内容は,これから始まる春のセメスターで使う本の中のひとつの, Multimedia Learning の本を読んでの概要と感想を,読書記録?として書いています。著者は,Richard E.Mayerで,カリフォルニア大学サンタバーバラ校の心理学の教授です

2/23/2009

第7話 Active Learning とは

前回の,Meaningful Learning (必要な言葉などを覚え,自分のものとして理解し,そして新しい状況などにおいて,いろいろな解決方法へとつなげられるようになる学習のこと。)
を得るために必要なものについて考えを進めていくわけですが,ここで,Active Learningについて考えます。

著者の Mayer教授の定義として,

Active Learning とは,
学習の中で行う活動の結果,Meaningful Learningの学習結果を得るような学習活動のこと

としています。

それでは,その Activeな学習とは,学習者の「行動」がアクティブであるものを意味するのでしょうか?

例えば,学習者が,コンピュータのチュートリアル学習を使って学習しているとします。
ある学習者は,コンピュータからの質問に対して,キーボード入力によって回答し,コンピュータはその回答への正誤情報を提示しながら,学習を進めていました。
その行動は,一見アクティブな状況とも捕らえることができますが,その学習者の頭の中で,認知的にアクティブかどうかは別の問題です。

対照的に,ある学習者はコンピュータから提示される説明や,シミュレーションを見ながら,学習を進めているとしましょう。一見,情報を読んでいる(見ている)だけで,行動として,アクティブではない状況です。でも,その学習者は,提示されている情報から,頭の中で試行錯誤しつつ,原因と結果などを考えながら,提示情報から不足している部分は,すでに学習し持っている知識などを使いながら,学習を進めているとしましょう。これは,頭の中では活発に学習活動が行われている状況です。

つまり,アクティブな活動とは,学習中の学習者の「認知的な活動」を指しています。

meaningful learningな学習結果を得る方法は,体験的な学習だと考えることが多いでしょう。
インタラクティブ性の高いマルチメディアプログラムを考えるかもしれません。しかし,コンピュータゲームに見られるように,活発な認知的な学習を推し進めないことも多いのです。そして,ただの提示教材は,学習者は受身の学習をしていると考えることも多いでしょう。

ここでのポイントは,うまくデザインされたマルチメディアによる提示教材は,活発な認知的な学習を進めることができるということです。
つまり,meaningful learning は,いかに,認知的に活発な学習を作るか,ということです。

この本では,特にどのような提示教材が,認知的に活発な学習へ導くか,という点に注目していきます。



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内容は,Multimedia Learning の本を読んでの概要と感想を,読書記録?として書いています。著者は,Richard E.Mayerで,カリフォルニア大学サンタバーバラ校の心理学の教授です

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