5/04/2009

第2話  二重符号化理論

Dual-Coding Theory of Multimedia Learning

マルチメディア学習は,視覚的に提示されたアニメーションと言語的に提示されるナレーションといったような,二つ以上の様式において提示された情報をつかって,知識の構築が行われたとき起こります。
厳密にいうと,私たちの定義は,「multimedia」(授業者が2つ以上の提示メディアを使う)というよりも,むしろ「multimodal」(学習者が2つ以上の感覚様式を使う)といえるかもしれません。「視覚」と「言語」を使ってというのは,2つの違った感覚様式を意味し,「アニメーション」と「ナレーション」というのは,2つの違う提示媒体と言えるでしょう。

私たちの考える,Dual-Coding Theoryは,Paicio(提唱者)の理論をベースに変更をしたものです。学習しているときに,提示教材がどのようにワーキングメモリーないで統合されていくのかを説明する3つのプロセスを提案しています。

言語による説明を受け取ると,ワーキングメモリー内において,学習者は,頭の中に,受け取った対象であるシステムの像(表象)を構築します。視覚による説明を受け取ると,同様に,頭の中に像(表象)を構築します。外界から入ってきたものが頭の中に学習者のイメージとなるプロセスを,

verbal/visual represetational connection (verbal/visual encoding)

といいます。

そして,この頭の中に構築された2つの表象(頭の中に作られたイメージみたいなもの)が,統合されていきます。言葉による説明と,図やアニメーションによる説明が,同じものを説明していると認識する状態のことです。このことを, referential connection といいます。

この,Paivioの理論を拡張した,Dual-Coding Theoryは,特に,問題解決に関する予測を可能にしています。つまり,この3つのコネクション,visual representational connections, varbal representational connections, referential connectionsの形成を促すことが,問題解決のための情報の転換だと考えます。この3つのうち,どれかが欠けることは,すなわち,理解度が落ちることを意味するということです。


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この論文のレビューです
Mayer,R.E., Sims, V.K.(1994)
For Whom is a picture worth a thousand words?
Extensions of a dual-coding theory of multimedia learning.
Journal of Educational Psychology, 86, 389-401
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